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危機の時こそ企業文化を大切に

危機の時こそ企業文化を大切に
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危機によって経営が苦しくなると、企業文化の醸成のような課題は後回しになってしまいがちです。しかし今、社内でこんなことは起きていませんか?

  • 突然の事業環境の変化によって経営理念やビジョンがブレてしまった、又は脅かされている
  • 社員の負担増による社内コミュニケーションが停滞している
  • 会社全体を優先するために今まで認めていた社員の裁量や権限を留保した
  • 在宅勤務によってオフィスという協働の「場」が失われた

 
このような事態は会社の求心力低下につながるので注意が必要です。
急変した事業環境に適応するためにこれまでの戦略や経営を見直さなければいけない場合もあるでしょう。しかし時間をかけて育ててきた企業文化を壊してしまうようなやり方は避けるべきです。会社が難局を乗り切れるかは、結局は社員にかかっているからです。

コーポレートカルチャーの軽視は離職者の増加や生産性の低下につながるだけでなく、優秀な人材を惹きつけることが難しくなります。難しい舵取りが求められているときに欲しい人材を確保できないのは死活問題といってもいいでしょう。

どんな状況に陥っても、企業文化を保つ努力をすべきです

良質な企業文化は社員のモチベーションを高め、転職を思いとどまらせてくれるだけでなく、新しい人材を採用する際にも欠かせない資産となります。特に近年は、オファーを受けるかどうかの判断基準として企業文化やコーポレートカルチャーを挙げる転職者が増えています。自分らしく働けそうか、うまく馴染めそうかといった点を重視しているのです。裏を返せば、カルチャーがよくないと感じたらどんなに職務や年収が魅力的でも入社してもらえないということになります。

優秀な人材を採用し、長く活躍してもらうためにはここで働いてみたい、この会社のためにベストを尽くしたいと思えるような魅力的な企業文化の醸成が欠かせないのです。
 

そもそも企業文化(コーポレートカルチャー)とは?
では、そもそも企業文化とは何なのでしょうか。言葉で定義するのは非常に難しいのですが(客観的に評価するのは更に困難です)、敢えてまとめれば「会社や社員の行動を方向づける価値観や考え方、態度」ということになるかと思います。
 
どんな組織でありたいかを具体的に示すことはよい職場づくりの基本です。良質な企業文化はハッピーな社員を生み、顧客をも魅了します。
企業文化を支える要素は大きく四つあると言われています:

  • 価値観・バリュー:価値観は企業文化の中核となるものです。何を優先して仕事をすべきか、どのように仕事に取り組むべきかという指針になります。
  • 社員:価値観は社員に支持されて初めて意味を持ちます。文化は社員全員で担うものですから、新たな人材を採用する際にも、「わが社の価値観に賛同してくれる人物か」をよく見極めなくてはいけません。
  • 職場環境:職場(=オフィス)は文化の土壌です。在宅勤務が広がりオフィスの役割は変容しつつありますが、サテライトオフィスやホームオフィスを含め、会社の価値観を反映した「場」の創出に務めるべきでしょう。
  • 行動:号令ばかりで行動が伴わないのでは、価値観が文化として根付くことはありません。社員はもちろん、取引先や出入りの業者、お客様など会社に関わる全ての人々が価値観を行動に移すことで、文化が浸透していくのです。本気でコーポレートカルチャーを強化したいなら、身をもって示すのが一番です。

文化の醸成・維持は今や企業の重要なミッションです。企業文化の在り方は従業員のウェルビーイングはもちろん、会社の業績にも大きな影響を与える(リンク先英文のみ)ことがわかっているほか、以下のような好ましい効果が期待できます。


危機下でも求心力のある会社文化を保つためには?
企業文化とは何か、なぜ大事なのかはお分かりいただけたと思います。では具体的にどうすればよいのでしょうか。
 
モラルを高め、企業理念を息づかせるのは実は小さなことだったりします。気をつけるべきことは:

  • 社員の声に耳を傾ける:部下の気持ちはわかってるなどと過信してはいけません。考えていることや不安に感じていることを話してもらい、それをしっかり受け止めることが大切です。「この会社は(●●部長は)私のことを気にかけてくれている」と社員が感じるところから信頼は生まれます。こうした信頼はパフォーマンスの向上にもつながります。
  • 嘘をつかない:透明性は非常に重要です。社員が不安を抱えているようなときこそマメな情報共有を心掛け「みんなで乗り切ろう」というメッセージを発信しましょう。
  • できることから取り組む:今回のパンデミックに限らず、大きな経済危機においては自分一人の力ではどうにもならないことがたくさんあります。不可抗力だから仕方がないと全てコロナのせいにすることもできるでしょう。しかしチームの雰囲気、部下に与えるタスクなど、自分でコントロールできることも必ずあるはずです。できることは全てやっているという誠意が伝われば、社員の不安は相当程度和らぐのではないでしょうか。
  • クリエイティブに知恵を絞る:状況が苦しくなると変革を急ぐ経営者が増えます。しかし少なくとも企業文化という点においては、大きな路線変更は逆効果です。価値観や優先順位を書き換えるよりも、今までの企業文化を絶やさないためにはどうすればよいか、皆で知恵を絞った方が賢明です。
  • 社員をサポートする:従業員のウェルビーイングを支援することはどんな時でも会社の重要な務めですが、社員が不安を抱えているようなときはいつもにも増して丁寧なフォローが必要になります。「会社に大切にされている」という信頼が企業の求心力を高め、良質な企業文化を育むからです。
  • 定期的なコミュニケーション:そして企業文化を守る上で最も大切なのが、定期的なコミュニケーションです。会社のメッセージを発信するにしても、在宅で働く社員が多いようなら全社的なテレビ会議を行ったり、イントラネットに動画メッセージを投稿してみては。最後まで読んでもらえるかわからない無味乾燥な長文メールよりもよほど効果的かもしれませんよ。

 改めてリストアップするまでもない「当たり前のこと」ばかりですが、苦境に陥ると戦闘モードのスイッチが入り平常心を棚上げしてしまうのが人間です。「当たり前のこと」ができているか、この機に再点検してみてはいかがでしょうか。
 

危機の時こそ企業文化を大切に

「平常心を忘れずに。企業文化の土台は共感力です。」


求心力のある企業文化に共通する4つの特徴
何をもって「よい企業文化」(リンク先英文のみ)と考えるか、その答えは会社によって違うでしょう。しかし働き易い環境を生み出すことに成功している企業にはいくつかの共通項があります。

  1. 経営陣の発信力:強力な企業文化の醸成に成功している会社では、会社のコアバリューや、社員に何が期待されているかということについて経営陣が責任をもって発信しています。発言に行動が伴っている点も重要です。
  2. アカウンタビリティ:会社のコアバリューや期待値が会社の隅々まで浸透しており、全ての社員が会社の価値観に従って仕事をすることの意義を理解しています。
  3. 活発な議論:意思決定の場では活発な議論が行われており、上下関係に関係なく皆の意見が尊重されています。多様性を受け止めるインクルーシブな文化こそがイノベーションを生むという意識が成熟しているのです。
  4. インセンティブ:企業理念を体現した行動を褒賞する仕組みがあります。褒賞は金銭に限りません。一方で、褒賞の対象は幅広く、新入社員や清掃スタッフなど会社に関わる全ての人が等しく評価されるような制度設計になっています。


企業文化を育てる方法
ここからは具体的にどうすれば現状を改善できるのか、6つのポイントをご紹介します。
 

  1. 定型プロセスの確立:意見の対立や無用な混乱を避けるために、それぞれのタスクに対して最も有効なやり方を社内で確立し、みんなで共有します。
  2. 利益よりも人を優先:人を犠牲にして利益を生み出すような組織に、社員はついてきません。何のための企業文化なのかを明確にし、その実現のために経営陣やマネージャーから本気で行動しましょう。
  3. 今あるものを生かす:文化は上から押し付けるものではありません。今あるものをどう生かすかを考えるべきです。
  4. コアバリューの積極的な発信:価値観を凝縮したガイドラインなどを作成し、社員がどう行動すべきかを明確に示しましょう。
  5. チームワークを表彰する:困っている同僚を助けた社員などを表彰することで、コアバリューを強調することができます。
  6. 社内の交流を促す:社員同士のつながりを感じられると、従業員満足度やエンゲージメントが向上します。
     

独力での取り組みに行き詰った場合は、プロの助けを借りるのも一案です。価値観や理念の浸透、変化を前向きに受け入れる雰囲気作り、社員同士のコミュニケーション促進や従業員エンゲージメント戦略の提案など、企業文化の醸成を支援するサービスを提供する企業はたくさんあります。部外者の方が組織を客観的に見つめられるという利点もあるので、必要に応じて取り入れてみてはいかがでしょうか。

番外編:ユニークな取り組み
最後に、個性的な取り組みをいくつかご紹介します。コーポレートカルチャーはまさに十人十色。固定観念に縛られることなく、「うちの会社らしいな」と思えるものを自由に追求していいのではないでしょうか。
 
フォーカスグループの活用:チームで何がうまくいっていて、どんなやり方がまずいのかをグループで話し合ってもらい、改善に役立てます。組織運営に参加しているという実感を得られるので、結果的に従業員エンゲージメントや幸福度の向上につながります。
 
“9 day fortnight”:。海外の石油・ガス系の会社などで採用されている仕組みです。「2週間分の労働(週5日×2)を9日間で集中して行う」という勤務スタイルで、浮いた一日分を休みにします。2週間に一度金曜日が休みになるため、三連休をエンジョイするために仕事を早く終わらせよう、という意識が高まるようです。
 
有給取り放題:一年間にとれる有給の日数に上限を設けず、「仕事をするときは100%集中する」代わりにいくらでも休める仕組みです。社員の自由や裁量を大切にするやり方といえるでしょう。
 
 
いかがでしたでしょうか。ポジティブな企業文化は、社員による不正の防止やイノベーションの促進、企業イメージやブランディングの強化、タレントリテンション・アトラクション(リンク先英文のみ)の改善など様々な効果が期待できます。日々の業務や会社の雰囲気にも大きな影響を与えるので、こんなときだからこそ真価が問われています。是非積極的に取り組みたいところです。