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転職意識調査:2024年の採用難を乗り切るためのヒント

転職意識調査:2024年の採用難を乗り切るためのヒント
Submitted by Vipin on

各社で2024年の採用活動が始まっています。売り手優位が続く中途採用市場で欲しい人材を獲得するためには働き手のニーズをうまく捉えなければいけません。

では2024年の転職希望者はどんなことを考えているのでしょうか?Morgan McKinleyでは転職意識調査として “Global Workplace Study” を実施し、世界の候補者の本音に迫りました。

Morgan McKinleyの転職意識調査でわかったこと:

  • オファーで重視するポイントのトップ3は給与、成長の機会、仕事のやりがい
  • 給与に対する不満から転職活動をしている人は62%
  • 面接官の対応が悪かったために選考を辞退したことがある人は47%
  • 面接回数が多すぎる、選考や意思決定に時間がかかりすぎると感じている候補者が多い
  • 理想とする働き方(勤務スタイル)を実現できれば給与アップのチャンスを見送ってもよいと考える働き手は50%

以下、今回の転職意識調査で明らかになったトレンドをご紹介しつつ、転職希望者のニーズに寄り添うために採用企業としてどのような工夫をすればよいのかを考えてみたいと思います。

1. 金銭的・非金銭的インセンティブの最適化

転職において最も重視することを尋ねたところ、圧倒的な第一位は予想通り「給与・福利厚生」などの待遇面でした。

現職の給与に対する不満から転職活動をしている人が多いことから見ても当然の結果と言えるでしょう。

しかし割合で見るとこのような金銭的インセンティブを選んだ人は半数に及ばず、それ以外の人は非金銭的な要素を挙げていることも注目に値します。

求職者が最も重視する要素の上位7位は次の通りです。

転職において最も重視することは何ですか? 一つだけ選んでください。GLOBAL
給与、福利厚生42.42%
完全在宅勤務、またはハイブリッド勤務制度の有無15.50%
仕事の内容、やりがい12.07%
キャリアアップの見通し、成長機会13.89%
ポジションの安定感6.64%
エンパワメントを大切にする社風、経営陣3.82%
きちんとサポートしてくれる上司3.08%

 

“給与に対する不満から転職活動をしている人は62%”

AIやサイバーセキュリティ人材など、需要が集中している分野では給与が高騰しているため(Morgan McKinleyの年収ガイドはこちら)、このようなスキルがどうしても必要な場合は相応の待遇を用意する必要があるでしょう。

一方、高額のオファーをどうしても用意できない場合は非金銭的なインセンティブとのバランスをとることで転職希望者を惹きつけられる可能性があります。

2. 候補者体験の改善は急務

“面接官の対応がプロフェッショナルではなかったために選考を辞退したことがある人は47%” 

候補者にとって転職は人生がかかった一大事です。面接官の言動や態度、会社の対応は常に見られていると思っていいでしょう。

ネガティブな候補者体験(キャンディデート・エクスペリエンス)は人材獲得の成否に直結します。

転職希望者の立場に立って中途面接の段どりやフレームワークを見直し、適切な研修を行うなどの努力が欠かせません。

実際に面接を受けた候補者のフィードバックを得られるような仕組みがあれば尚よいでしょう。但し、候補者としては本音を言いづらい場合もありますので、人材紹介会社やエージェントを活用するのも一案です。

給与や福利厚生制度は容易に改訂できなくても、面接官の意識は比較的低コストで変えられるはずです。取り組まない手はありません。

3. 選考のスピードアップも課題

今回の調査では転職活動における面接回数や選考期間の長さに対する不満も浮き彫りになりました。

「この企業で働きたくないなと思うのはどんな時ですか?3つを選んでください」という質問では、回答者の34%が「面接回数が多すぎる・採用プロセスや意思決定が遅い」と答えています。

この転職意識調査と同時に採用企業側に行った調査では、企業の24%が選考に時間がかかりすぎて優秀な人材を逃していると感じていることがわかっており、既に取り組みを進めている企業もあるかもしれません。

転職希望者の不満のタネとなっている採用リードタイムの短縮については別記事でもご紹介しています。

採用AIなどの新技術の導入も一考に値するでしょう。採用業務にAIやオートメーションを取り入れている企業はわずか7%(当社調べ)に過ぎず、うまく活用すれば競合に差をつけられる可能性があります。

採用にAIを導入している世界の企業では、次のような業務に活用しているそうです:

  1. 候補者のソーシング、スクリーニング
  2. 面接のスケジューリング
  3. オンボーディング管理

“面接プロセスの合理化、面接回数の削減、日程調整の工夫、開始・終了時間の厳守、選考中のタッチポイントやエンゲージメント強化などの取り組みを通じて採用率を向上させている企業もあります”

4. 働き方改革の推進

“昇給を断ってでも、望む出社回数や勤務の柔軟性が確保したいと思う働き手は全体の50%”

転職の際にワークライフバランスを重視する人は増え続けています。一方、世界の企業の56%は昨年よりも出社要請回数を増やしており、雇用主と働き手の間で軋轢を生んでいます。

転職意識調査では、働き手が理想とする出社回数は「週1~2回」が43%、「週3~4回」が29%、そして「週0回(完全在宅勤務)」が16%という結果となりました。週5日出社したいと回答した人はわずか12%で、転職希望者の大多数が何らかの形でリモートワークをしたいと考えていることがわかりました。

世界的に見て香港・中国では出社を厭わない傾向が見られましたが、日本を含めその他の国・地域ではリモート志向が強いようです。

優秀な人材を獲得するためには部分的にでも在宅勤務を認められないかを検討し、認められない場合は選考過程において出社の必要性を丁寧に説明しつつ期待値をマネージする心遣いが必要でしょう。

転職希望者の声に耳を傾けることが人材確保の近道

2024年も中途採用市場では人材難が続くと考えられます。優秀な人材を確保したい採用企業は転職希望者の期待値の変化に敏感に対応すべきです。

今回の調査で明らかになった転職の動機のナンバー1は給与・報酬でした。ですが多くの人はお金だけを求めているわけではありません。仕事のやりがいや多様な働き方のサポート、ダイバーシティやインクルージョンといった点にも配慮することで、総合的に魅力的なオファーを提示することは可能です。

また、ここでご紹介したのは全体的なトレンドですが、究極的には転職に何を求めるかは人それぞれです。一人ひとりの候補者と丁寧に向き合い、その人を理解しようと努めることこそが上手なオファーマネジメントの秘訣です。