面接に呼ばれる英文レジュメの書き方
外資系企業から英文レジュメを提出してください、と言われるとプレッシャーですよね。初めて英文レジュメを作成する方のために、英文レジュメの基本を解説します。
そもそも英文レジュメとは?
英文レジュメとは英語の履歴書・職務経歴書のことです。欧米には履歴書と職務経歴書を別々に作成する習慣がなく、両方の情報が合わさったような「レジュメ」を提出するのが一般的です。英国圏では CV (Curriculum Vitae)と呼ばれることも多いです。
英文レジュメには、日本の履歴書のように決まった書式がありません。自由度が高い分、差が付きやすいとも言えます。以下、英文レジュメに「何を」「どのように」書くべきかについて整理しました。
【目次】
英文レジュメ・職務経歴書に書く内容
英文レジュメ・職務経歴書の体裁
英文レジュメ・職務経歴書に書く内容
実は英文レジュメに書く内容について、万国共通のルールはありません。年齢(生年月日)や住所の記載、写真添付の有無など、国によってかなり慣行が違うからです。
海外の企業やポジションに応募する場合は特に注意が必要です。米・英・欧州・南アフリカ、オーストラリア・中東・アフリカ・アジア・南米など、ルールは様々なので必ず事前にリサーチをしましょう。
例えば米系企業の日本法人の場合、アメリカ式のレジュメを求める企業と、写真付きの和文履歴書・職務経歴書を求める企業があります(本国の幹部との最終面接でのみ英文レジュメが必要、という場合もあります)。判断に迷ったら転職エージェントに相談してみてください。
1. 必須情報
それでも、どこの国でもほぼ必須と言える情報はあります。
1) 連絡先:
氏名、住所、プライベートのメールアドレス、携帯電話番号を記載します。メールアドレスは名前のようなシンプルなものが望ましいです。
冒頭やヘッダーなど、わかりやすいところに配置します。
2) 職歴:
担当業務は箇条書きにするとよいでしょう。その仕事において「何を成し遂げたのか」「どのように会社に貢献したのか」といった成果を書くのがポイントです。
3) 学歴:
日本の履歴書では高校卒から書きますが、英文レジュメは大学以降(または最終学歴)でOKです。学校名・卒業年度・専攻を書きます。
大学・大学院で達成した事項のうち、応募する仕事に関わりが深いものがあればそれも記載しましょう。
4) スキル:
コミュニケーションやITスキル、語学力など、応募するポジションに関わりが深いものを中心にアピールします。
5) 資格:
スキル同様、応募するポジションに関わりが深いものを書きます。関連性が深ければ勉強中の資格も書いて構いません。
運転免許は不要です(仕事で必要な場合を除く)。趣味の資格も不要です(面接の話題作り程度には書いてもよいでしょう)。
注意点1)生年月日や写真について:
英文レジュメでは、生年月日や写真は差別につながるとの観点から不要とする国も多いです。
注意点2)ITスキルについて:
Microsoftワードやパワーポイントなどは近年ではある程度は使えて当然、という認識が定着していますので、募集条件に特に記載がある場合や、人並み以上のレベル(VBAやマクロなど)で使える場合などを除いては特に記載する必要はありません。
2. キャリア目標 or サマリー(職務要約)
キャリア目標やサマリー(職務要約)は国によって慣習が違います。応募する企業によって記載するかを決めましょう。
キャリア目標とサマリーを両方書く必要はありません。第二新卒やキャリアチェンジなど経験が少なく、将来性やモチベーションをアピールしたい場合は「キャリア目標」、即戦力としてのスキルや経験をPRするなら「キャリアサマリー」というように使い分けるとよいでしょう。
1枚目の冒頭に配置するのが基本です。
キャリアサマリーの書き方
キャリアサマリーとは、これまでの職務経験の要約(PR)です。
刺さるキャリアサマリーを書くコツは「あなたを採用するとどんないいことがあるのか?」という本質的な問いに明確に答えることです。
上手な英語で書かなければ!と焦る必要はありません。読みやすく平易な文章で良いのです。単純な構文にキーワードをしっかり盛り込むことに注力しましょう。
表現や英語に迷ったら、英文の求人票を参考にしてみてください。求人票には採用企業の期待値が集約されているので、真似して書けば採用企業に響く文章になります。
こちらのキャリアサマリー文例集も参考になります。もちろん、Morgan McKinleyのコンサルタントにご相談頂いてもOKです。
キャリア目標
キャリア目標は新卒・第二新卒の方などにおすすめしていますが、社会人経験が長くても応募職種の経験が浅い場合や、未経験の業界にチャレンジするキャリアチェンジといった場合にも有効です。
基本の書き方はこのテンプレートが参考になります。(1)~(3)にそれぞれ適切なフレーズを挿入するだけでシンプル且つ効果的なキャリア目標が完成します。
インターネットには英文のキャリア目標の記述例や書き方をまとめた記事もたくさんありますので是非参考にしてみてください。
英文レジュメのレイアウト
次に、英文レジュメのレイアウトのポイントをお伝えします。
採用担当者や、通常業務だけでも忙しい現場のマネージャーは毎日たくさんの応募書類に目を通さなければいけません。時間をかけて読まないとわからないような英文レジュメは、ビジネス文書としてそもそも失格でしょう。
そこで重要なのがレイアウトです。
1. 長さ(ページ数)
「KISS」の原則をご存じですか?
Keep It Short & Simple.
あらゆるビジネス文書に言えることですが、英文レジュメや職務経歴書においても「簡潔・明瞭」に勝るものはありません。
ページ数はご自身のキャリアの長さを基に決めましょう。第二新卒から社会人経験5年くらいの方であれば、A4紙1~2枚に収めたいところです。10年以上の経験がある方も2枚、多くても3枚以内にまとめましょう。
新卒が1枚なのに、経験10年で2枚?と思われた方もいらっしゃるかもしれません。しかし採用担当者は、あなたが今まで担当してきた業務を逐一知りたいと思っているでしょうか?多くの場合、そうではないと思います。募集しているポジションをこなせるだけのスキルや経験、素質がありそうかを知りたいのです。
文書が長ければ長いほど、重要な情報が埋もれてしまうリスクが高まります。ベテランだからといって今まで担当したタスクやプロジェクトを全て書いてはいけません。応募するポジションに期待されている役割をよく考えて無関係なものは割愛し、関わりが深いものを選び抜きましょう。
だらだらと3枚書いてあるよりも、応募しているポジションに直結する経験が1ページに集約されている方が採用担当者の目に留まりやすいのです。
2. フォーマット
フォーマットが適切かを見極めるには、以下の点を検討しましょう。
- 重要な情報がぱっと目に入るか?
- フォントがゴテゴテしていないか?文字の色・大きさに一貫性があるか?
- 内容がわかりやすく整理されているか?
英文レジュメ・フォーマットのポイントは大きく5つあります。
1) 箇条書きで書くこと。要点をわかりやすくすっきりとまとめられます。ベタ打ちの文章は読み手に負荷がかかるので、使う時は注意しましょう。
2) フォントはシンプルなものを。英語ならArial、Calibri、Times New Romanがおすすめです。大きさは見出しなら12~14、本文は11~12くらいが読みやすいと言われています。(日本語なら明朝やゴシック、本文は10.5~11程度)。
3) 余白も大切に。余白が少なすぎる書類は見にくく、読むのが面倒に感じてしまいます。余白を減らして情報を詰め込むよりも、所定のスペースに収まるように書く内容を精査しましょう。
4) 職歴を逆時系列で記載すること。英文レジュメでは直近の経歴を一番上に記載するのがセオリーです。その理由は、直近のポジションが現状のスキルや能力を最もよく反映していると考えられているからです。中途採用は即戦力が基本。1枚目で「今のあなた」をしっかりアピールしましょう。
5) スペースの使い方を工夫して情報に強弱をつけること。簡潔明瞭が大事だからといって全ての情報を等しく扱う必要はありません。直近の職歴は詳しく、新入社員のときの経験はさらっと書くなど、アピールしたい情報が目に入りやすいように書くとよいです。
3. ファイル形式
英文レジュメを提出する際はファイル形式にも注意を払いましょう。一番おすすめはPDFです。
PDFの利点は、ファイルを開く人のシステム環境に関わらず、作成者が意図した通りのレイアウトで文書が表示されること。余白や改行まで気を配って仕上げた英文レジュメが、システムの設定が違うせいで行がずれて表示され、読みにくくなってしまう可能性があります。
MS Wordで作成した書類は保存画面で「ファイルの種類」としてPDFを選択すればOK。Google ドキュメントでは「PDFでダウンロード」を選択すれば簡単にPDFファイルを作成できます。オンラインでもワードファイルをPDFに無料で変換できるサイトがたくさんあります。
但し、応募先企業がファイル形式を指定している場合などはこの限りではありません。応募先企業の指示に従いましょう。細かいところまできちんと意図を汲み取って仕事ができる人だと思ってもらえるはずです。
応募企業やポジションに合わせたレジュメの編集
英文レジュメが完成したら、実際の求人に応募する前に最後にもうひと手間かけましょう。
どんなビジネス文書も、的に合わせて狙いを定めなければ希求力が落ちます。面倒かもしれませんが、応募する企業やポジションによって必ずレジュメを編集することが成功への近道です。ポイントは二つあります。
1) 求人広告やジョブディスクリプションをしっかり読むこと
人事事や部署の採用担当者は自分が作成した求人票やジョブディスクリプションの要件に添ってレジュメをななめ読みしています。
求人票で指定したキーワードやスキルが飛び込んでくる応募書類は、ぱっと見ただけで応募条件をクリアしていると判断しやすくなります。逆に重要キーワードが抜け落ちていると、関連経験がないと思われてしまうリスクがあります。別の表現で書き込んであったとしても、です。
用語や表現をできる限り求人票に近づけることが書類通過率向上につながります。
2) 応募企業をリサーチすること
インターネットでリサーチをすれば、応募企業に関する様々な情報がわかるはずです。製品や海外拠点、新規事業、企業理念、経営哲学、環境保護や社会貢献の取り組みなど。
こうした情報の中から共感できるもの、アピールできる関連経験がないかを考えます。
関連実務経験は職歴(またはキャリアサマリー)に、ビジョンに魅力を感じた等のアピールはキャリアサマリーやキャリア目標に書き込むとよいでしょう。
応募企業に合わせてカスタマイズすることで、きらりと光る英文レジュメになります。
4. 職務経歴書・ 英文レジュメの最終チェック
内容、構成、レイアウト、余白もOK!いざ送信!
という気持ちもわかりますが、ちょっと待ってください。そのレジュメ、本当に完璧ですか?
どんな文書にも言えることですが、提出する前に必ずもう一度チェックしましょう。誤字脱字はありませんか?重複している内容や、編集しかけの文章は残っていませんか?前に応募した企業の名前が間違って残っていたりしませんか?
送信したらもう取り返しがつきません。信頼できる友人や転職エージェントに最終チェックをしてもらいましょう。英文レジュメなら、ネイティブチェックをお願いするのもおすすめです。
ここまでできたら、もう大丈夫でしょう。今度こそ送信ボタンをクリックしましょう!
Best of luck!
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