You are visiting this website from:

採用におけるアンコンシャス・バイアスを排除する方法

採用におけるアンコンシャス・バイアスを排除する方法

読了時間:約7分 | 14-12-2020

「その仕事に最も相応しい人材を採用するために、候補者の資質や能力に基づいてできるだけ公正に採用判断をしている」―採用に関わるからにはこのような自負があるのは当然です。

しかし自分では客観的・論理的に判断していると思っていても、人間である以上、知らず知らずのうちに認知のひずみが生じている可能性があります。

No_unconscious_biases_in_hiring_processes

無意識のうちに物の見方や考え方が偏ってしまうことを「アンコンシャス・バイアス」と言います。自覚がないためにコントロールが難しい一方、採用の意思決定にも大きな影響を与えうるものです。

バイアスは、人種や宗教などわかりやすいものに限りません。私は大丈夫、と思っている方も是非最後までお読みください。

アンコンシャス・バイアスがなぜいけないのか

潜在的な固定観念や思い込みを取り除く努力をせずに採用を進めると、チームの多様性が犠牲になるリスクがあります。ダイバーシティが高いチームの方が優れたパフォーマンスを出す(リンク先英文のみ)という研究が相次いで発表されていることを踏まえて考えれば、無意識のアンコンシャス・バイアスは会社の不利益になるかもしれないということです。

「アンコンシャス・バイアスは企業の多様性実現の障害となり得る。採用の段階でも軽視してはいけない」
ーPragya Agarwal博士

思い込みによって目が曇るとマッチングがうまく行かず、離職率の増加にもつながります。欠員補充には該当ポストの年収の2倍近い費用(リンク先英文のみ)がかかります。また偏見(ステレオタイプ、性別、容姿)に基づく採用判断は違法であり、訴訟のリスクもあります。

幸いなことに、採用におけるバイアスをなくすためにできることもあります(関連部分へジャンプ)。ですがその前に、採用におけるバイアスで多いものをおさらいしておきましょう。採用経験者なら身に覚えがあるものも少なくないはずです。

採用におけるアンコンシャス・バイアス
~注意したい9つのパターン

Formation_of_unconscious_biases

1. 確証バイアス

「確証バイアスとはフィルターを通して世界を見ること、選択的な思考パターンのことだ」 
David McRaney

確証バイアス(Confirmation bias)とは、自分の考えや仮説に合致する証拠集めに専心し、自分にとって都合の悪い情報を無視してしまうものです。

採用面接における確証バイアスの例:

履歴書・職務経歴書やレジュメを見て「正に求めていた経歴だ!」と思っている候補者の面接では、期待を裏切られたくない一心でよいところばかり見てしまいがちです。懸念事項があっても無意識に頭の隅に追いやり、「やっぱり思った通りの人材だった」と結論づけてしまうのです。特に候補者探しに苦労している場合などに陥りがちなバイアスです。

「絶対駄目だろう」という先入観をもって臨むと短所ばかり目についてしまう、ネガティブな確証バイアスもあるので気をつけましょう。

2. 同調バイアス

人間には、自分の行動を決める際に他者の行動を観察し同調する性向があります。これを同調バイアス(Conformity bias)と言います。

災害時に「避難した方がいいかも?」と思っても周りが避難していないと「まだ大丈夫かな」などと考えを翻してしまうというのも同調バイアスの影響が指摘されています。私は人の意見に簡単に流されたりしない、などと思っていても、群れに従う羊のような習性が心のどこかに存在するのです。

採用面接における同調バイアスの例

複数の面接官が同席するパネルインタビューを実施し、自分が受けた印象が皆と違った経験はありませんか。そんなとき、つい「思い過ごしかな?」と周りに同調してしまう心理が働きます。印象というモヤモヤしたものの正体をうまく説明できる根拠がない場合、特に流されやすくなるので要注意です。

unconscious_bias_recruitment

3. ジェンダーバイアス

これは説明不要でしょう。男性、女性といった性別に基づく固定観念が作用し、あるジェンダーの候補者を無意識に優遇・冷遇してしまうというものです。非常に認知度が高いにも関わらず未だに排除が難しい、非常に強固なバイアスです。

採用面接におけるジェンダーバイアスの例

「女性だから将来産休をとってしまうのでは」というのももちろんバイアスの一種ですが、この程度は意識できている方も多いでしょう。アンコンシャス・バイアスはもっと深いところに潜んでいます。

例えば人事部のように統計的に女性が多い部署の採用で無意識に女性の候補者を優先しているとか、前任者が男性だったから「なんとなく」男性の方がぴったり来る気がする、という風に作用します。自分が共感しやすいジェンダーに流されてしまう、ということもあります。

4. ハロー効果

ハロー効果(Halo Effect)とは、一つの目立つ特徴に惑わされて全体の印象を決めてしまうことです。Haloとは聖人の頭部や背後についている後光のことで、後光が射しているとその人の一挙手一投足が尊く有難く見える心理を表現しています。

採用面接におけるハロー効果の例

「東大卒」「XX社の出身」といったブランドに圧倒されて、優秀な人材に違いないと思い込んでいませんか。或いはちょっと気になる点があったのに、「でもあの人は東大卒だから、私の方が間違っているかもしれない」と懸念をやり過ごしていませんか。

どんなに望ましい特徴であっても、一点突破で採用の合否を決めない方が賢明です。多角的に観察しないと判断を誤ってしまいます。

5. 「悪魔の角」効果

「悪魔の角」効果(Horns effect)は後光効果の逆バージョンです。一つの望ましくない特徴(=悪魔のツノ)に邪魔されて、その先が見られなくなってしまうことを言います。

採用面接における「悪魔の角」効果の例

短大卒だから、などと候補者を切り捨てていませんか。「悪魔のツノ」は将来のポテンシャルを見る目を曇らせるため、採用において非常に有害なバイアスです。本来ならポテンシャルは採用において非常に重要な要素のはずです。ツノに惑わされないようにしましょう。

6. 親近感バイアス.

人間は自分に似た人に親近感を抱きやすく、従って自分と似たタイプの人物にポジティブな印象を持ちやすいことがわかっています。 これを親近感バイアス(Affinity bias)と呼びます。

採用面接における親近感バイアスの例

趣味や出身校、郷里が同じ候補者と意気投合して、肯定的な判断を下した経験はありませんか。また、無意識のうちに自分と考え方が似ている候補者を「優秀」だと結論付けていませんか。

他の面も優れているのならば問題はありませんが、「いいヤツだから」「自分と考え方が似ているから」という判断は危険です。このような採用を繰り返すとチームの多様性が犠牲になり、生産性が低下するリスクがあります。

unconscious_bias_hiring_process

7. コントラスト効果

一つ一つの情報を同じ物差しで個別客観的に評価するのではなく、情報同士を比較して判断してしまうことを言います。

採用面接におけるコントラスト効果の例

履歴書・職務経歴書やレジュメなどの書類選考は特に要注意です。要件を上回るレジュメを見た後の応募書類は、すべて「見劣り」しているように感じる心理などがコントラスト・バイアスに該当します。

優れた候補者のレジュメを見る前後で合格ラインがぶれているため、公正とは言えません。

8. アンカリング効果

最初に見た情報のインパクトによって、その後に入ってくる情報の印象が引っ張られることを言います。船が錨(anchor)を下ろすと動けなくなるように、最初の印象に縛られて公正な判断ができなくなってしまうのです。

採用面接におけるアンカリング効果の例

最初に見た情報、例えば学歴をベースに「優秀」「優秀でない」を無意識に決めてしまい、その後提示された情報を適正に評価できない、といったケースが考えられます。

9. 注意バイアス

注意バイアス(Attentional bias)とは特定の事柄にばかり注意が向いてしまい、他のことは無視してしまう状態です。「コートが欲しい」と思っていると電車に乗っていても雑誌を読んでいても、コートばかり目につく心理、といえばお分かりいただけるでしょうか。

鬱の状態だと(ポジティブな情報があっても)否定的な情報ばかり吸収してしまうのも同じ現象です。

採用面接における注意バイアスの例

面接の冒頭で気がついた外見上の特徴(例えばピアスやタトゥー、服装など)に気をとられてしまい、質疑応答の内容をきちんと聞いていない、といったことがあり得ます。また、リーダーシップ・スキルばかり気にしていたため、他の資質に気がつかず総合的な判断ができない、ということもあるでしょう。

採用においてアンコンシャス・バイアスを排除するためには?

「自分たちの頭の中からバイアスを取り除くのではなく、採用プロセスからバイアスを取り除くことにリソースを振り向けるべきだ」
Harvard Business Review

潜在意識の中のバイアスを取り除くのは容易ではありません。しかし人間にはこのようなバイアスがあると認知することはその第一歩となります。

採用過程におけるアンコンシャス・バイアスの影響を低減するための対処法を4つご紹介します。

アウェアネス研修

バイアスはジョブディスクリプションの作成から書類選考、面接、内定まで、採用プロセスの全ての段階で発生する可能性があります。

アウェアネス研修の目的は採用プロセスに関わる全ての人に、採用におけるバイアスとは何か、そしてそれが意思決定にどのように影響するかを理解してもらうことです。研修を通じて各自が自分の思い込みや偏見に気がつき、自らの行動や判断を積極的に変えていくことができるようになるでしょう。

awareness_training_againg_unconscious_bias

求人票の見直し

求人広告やジョブディスクリプションの言葉遣いは、応募者のジェンダーと関連性があることがわかっています。英語ならば competitive、determined、assertiveといった単語は男性候補者を、 responsible、 connecteddedicatedは女性候補者を多く惹きつけるというのです。

同様の現象が日本語でも起きると考えてよいでしょう。例えば「キャリア志向」「指導力」は男性を、「チームワーク重視」「聞き上手」といった表現は女性を引き寄せている可能性があります。

求める人物像の説明に採用担当者の無意識のバイアスが表れていないかを十分に検証する必要があります。同時に、どちらかの性を連想させるような抽象的な形容表現を避け、具体的なスキルや経験年数を示すよう心掛けるとよいでしょう。(例:「強くカリスマ性のあるリーダー」ではなく「X人以上のチームを束ねた経験がY年以上ある方」など)。

書類選考方法の見直し

応募書類から性別や人種、生年月日など、バイアスを引き起こし得る情報を外してしまうのも有効です。ブラインド・レジュメ、ブラインド・レビューとも言います。応募書類の形式を変えてもいいですし、こうした情報を隠すソフトウェアもあります。

より本質的な情報に基づいて書類選考を進めることで固定観念が入り込む隙を排除し、見過ごしていたかもしれない人材を発掘できる可能性があります。

バイアスに左右されないAIを活用するのも一つのやり方でしょう。

面接フローの標準化

面接の設問や進め方がバラバラだと候補者を公平に比較しづらくなり、結果的にバイアスや主観に左右されやすくなります。科学的な方法論に基づいて予め決められた質問をし候補者を評価するやり方をストラクチャード面接と言いますが、ストラクチャード面接はそうでない面接と比べて適切な人材を採用できる確率が2倍になる、という研究もあります。

このように面接を標準化することで、バイアスが入り込みにくい仕組みを作れます。

「構成や体系があやふやなアプローチを改めたら、後は自社に合ったやり方が見つかるまで試行錯誤や微調整を続けることです」- Irish Bohnet

Morgan McKinleyのアンチバイアスの取り組み

ここまでお読みくださった方は、Morgan McKinleyが行うスクリーニングにはバイアスの危険はないのか、と思われるのではないでしょうか。

当社では日々多くの転職希望者と面接・面談を行い、クライアント企業が求める人材を探すお手伝いをしています。その絞り込み、推薦の過程でバイアスがかかることはないのか?ご指摘はごもっともです。

当社では以下のような取り組みを継続的に行っています:

  • 全コンサルタントを対象にアンコンシャス・バイアスとコンピテンシーに基づく面接テクニックについての研修を定期的に実施
  • 全コンサルタントを対照にダイバーシティ&インクルージョン(D&I)についての研修を実施
  • D&I戦略について、専門家から助言を仰いでいます

追伸、適切な人材が見つからず採用に苦戦されている皆様。Morgan McKinleyでは上記のように必要な研修を受けたコンサルタントがサーチを代行致します。安心してサーチをお任せください。人材紹介のご依頼はこちらから求人の要件をお送りいただくだけでOKです。

給与ガイドシミュレーション2021年版

様々な国・地域、業界、職種における給与を閲覧できます。

年収を計算する Find Salaries

変化に強いビジネス作りを応援します

変化に機動的に対応するには?組織作りのの知恵とコツをご紹介します。

変化対応力について学ぶ
採用をお考えですか?

人材紹介のご相談は当社の専門コンサルタントにお任せください。ご相談は無料です。

人材を探す