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フィンテック企業におけるマーケティング戦略の考え方~Edward Taylor氏インタビュー~

フィンテック企業におけるマーケティング戦略の考え方~Edward Taylor氏インタビュー~
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Morgan McKinleyでは、世界130カ国で事業を展開し、10,000人以上の従業員を抱える世界的なフィンテック企業、Finastraのビジネスオペレーション担当シニアディレクターであり、マーケティングをとりまとめるEdward Taylor氏にインタビューする機会を得ました。

業界第一人者が考える、フィンテック・マーケティングの未来とは?

Edward Taylor氏は、Finastra社でマーケティングのビジネスオペレーションを統括し、効率化や社内外のコラボレーションを推進する役割を担っています。Finastraでは現在、データインサイトやインテリジェンスに注力し、マーケティングの費用対効果の改善や、戦略やチャネルの選定に役立てているといいます。従来型の金融機関におけるマーケティングとの違いは何か、これからのフィンテック・マーケティングは何をすべきか、そしてフィンテックをブランドで確立するためにはどうすればよいかについて、話を伺いました。

従来型の金融機関におけるマーケティングと、フィンテック企業のマーケティングの違いは何ですか?

まず、従来型の金融機関とフィンテック企業とではターゲットとなる顧客が違います。従来型の金融機関はプロダクトやサービスを顧客に直接販売します。顧客は個人投資家や一般の消費者だったり、法人だったりするので、マーケティング部門は顧客の属性によってマスマーケティングキャンペーンを実施したり、法人向けのリレーションシップマーケティングを展開したりするわけです。

Edward Taylor, Chief of Staff, Marketing at Finastra

一方フィンテック企業は基本的にベンダーであり、銀行などの金融機関を顧客としています。ですからフィンテックのマーケティングでは、金融機関に対して、自分たちが真のイノベーターであることを示し、この会社とコラボレーションしたいと思ってもらうことが大切です。このために重要なのは、適切な相手に、適切なタイミングで、適切なソリューションやサービスを提供することです。

数年前までは、伝統的な金融機関はフィンテックを破壊者や競争相手と見なしていました。これは機敏で動きの速いフィンテック企業にとっては、斬新な戦略やアプローチで市場に切り込む絶好の機会でした。「オープンバンキング」の時代を迎えた今は、銀行とフィンテック、サードパーティのIT開発者が連携して同じ目標を目指す、より協調的なアプローチが見られるようになっています。従ってマーケティングでも、現在は競争よりも協業、即ち「共にイノベーションを起こす」姿勢が大切だと言えるでしょう。

今後5年間で、フィンテック・マーケティングはどのようになると思いますか?またマーケティングとして重点的に投資すべき分野は何でしょうか?

今のテック業界をリードする企業が誕生した90年代後半から2000年代前半を振り返ると、世間のITへの関心は非常に高く、ITと少しでも関連がある企業は評価が高まり、まさにバブルでした。私は今後フィンテックにも同じようなことが起きると思います。フィンテックは今ホットな業界ですが、市場機会が増え、フィンテックを可能にする実現技術が次々と開発される中で、業界はどんどん進化していくでしょう。その中でフィンテックのマーケティング担当者は、顧客のリテンションとアトラクションのために革新を続けなければなりません。

フィンテックのマーケティングが投資すべき分野はテクノロジーの利活用だと思います。ビジネスアナリティクス、機械学習、人工知能などは、フィンテックコミュニティが何をするか・誰をターゲットにするか・どのように市場に参入するかといった経営判断に役立つはずです。

ソーシャルメディアやデジタルマーケティングも引き続き発展していくでしょうが、個々の企業にとっては差別化が重要になります。セールスライフサイクルの大半は、ベンダーが金融機関と接触する前のリサーチに費やされるため、フィンテック企業は視覚的にわかりやすく、関連性が高く、かつターゲットを絞ったアプローチを心掛けるべきでしょう。

Finastraは世界130カ国で事業を展開し、10,000人以上の従業員を抱えていますね。フィンテックでブランドを確立するための秘訣を教えてください。

実は、FinastraブランドはD+H社とMisys社が合併して2017年6月に発足したばかりなので、私たちのブランドはとても若いものです。忠実な顧客基盤と長い歴史に助けられていることは確かですが、まだ道半ばであり、現在、そして将来のお客様にどんな付加価値を提供できるかを考え続けなければいけないと思っています。

マメ知識:Finastraという社名は、「星」を意味する "astra "と、金融を意味する "fin "から生まれました。

フィンテックのブランドを確立するためには、本当の意味での顧客中心主義を貫くことが重要です。ただ技術革新を目指すだけでは意味がありません。お客様に最も大きなバリューを提供できる分野で、イノベーションを起こさなければいけないのです。またフィンテック市場は競争が激しいので、業界の中で目立つことも大切です。私たちは新参者のブランドですが、2019年にスーパーブランドに認定されました。

Finastraは金融ソフトウェアのライナップが非常に豊富なため、お客様に統合的なソリューションを提供することができるのですが、それだけでは不十分です。本当に業界トップクラスなのだということをお客様に証明する「プルーフポイント」、証拠が必要なのです。私たちは今や世界最大級のフィンテック企業ですが、ここでマーケティングを止めるわけにはいきません。競合を超える発信をし続けるためにはどうすればよいか、というのは常に私たちが直面している課題です。これができなければ、当社のブランドは崩れてしまうでしょう。

ですから私の一番のアドバイスは、お客様に対して自社のソリューションがもたらす価値を強調することです。お客様の事例やサクセスストーリーを蓄積していき、それを活用するとよいと思います。価値を裏付けるケーススタディが蓄積すれば、これが社内外に自社ブランドをアピールする最も強力な方法のひとつであることがわかるでしょう。

最後に、フィンテック業界への転職を考えている方へのアドバイスをお願いします。

フィンテックは今、金融業界のバズワードです。日々新しいビジネスチャンスが生まれています。フィンテックとは先端技術と高成長の金融、イノベーションが重なる分野で、おそらく最も急速に進化している業界のひとつです。このため、マーケティング担当者を含め、採用のニーズは更に高まるでしょう。

「金融に興味があり、テクノロジーでビジネスの可能性が広がると信じている方、スピード感があり機動的で革新的な環境で働くことが好きな方には、フィンテックはおすすめのキャリアです!」

フィンテック人材の採用をお考えの方、またはフィンテック市場についてもっと詳しく知りたい方は、是非当社までお気軽にお問い合わせください。